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離婚の手続きVOL32 養育費の算定方式は4つ!日本での平均金額は?

離婚した場合の養育費の計算は、どのようにすべきでしょうか。

日本の国での養育費の算定方式は4つあります。

ただし、現在では最も多く使われている算定方式があります。

また、日本で払われている養育費の平均金額はどれぐらいになるか解説していきます。

4つの養育費の算定方式と養育費の平均金額

養育費を決める際には、いろいろと考慮すべき事情があるのですが、それぞれの夫婦には、収入も違えば、子どもの事情も違いますので、個別に決めていくとなるととても大変です。

また、何を参考にしていいのかがわからないことが多くあります。

そんなとき、家庭裁判所でとられている養育費の決め方が参考になります。

参考にすべき養育費を決めるための算定方式は4つあります。

養育費の決め方

夫婦が離婚したとき、もし子どもがいるのであれば、離婚時に養育費を決める必要があります。

養育費とは、子どもの養育にかかる費用として、子どもに対して支払われる費用となります。

離婚した場合、子どもはどちらかの親が引き取ることになり、この引き取った方に対して、引き取らなかった親が支払います。

親は子どもに対して、自分と同等の生活水準を保証する必要がありますので、養育費の金額もそこを考慮して決めていく必要があります。

ただし、具体的な金額を決めるとなると、父母の収入やそれぞれの家庭の事情に応じて、何にお金が必要かの事情も違ってきますので、何か参考になるものがないとなかなか決まらなかったりします。

そこで参考にされているのが家庭裁判所でとられている算定方式となるのです。

4つの算定方式

養育費の算定方式としては、次の4種の方法があります。

  • ①実費方式
  • ②生活保護基準方式
  • ③労研方式
  • ④「養育費・婚姻費用算定表」を参考にする方法

一つ一つにその特徴、あるいはメリットデメリットがありますのでみていきましょう。

実費方式

養育費の算定方式として実費方式があります。

どのような方法なのでしょうか。

実費方式とは

養育費の算定方式の1つである実費方式とは、それぞれその家庭の今までの実際にかかった費用を計算し、今後どれぐらいかかりそうかを予想して、具体的な金額を決めるという方法です。

離婚するとはいえ、夫婦はそれまで一緒に生活をしてきたわけですから、どのようなことにどのような費用がかかるかはお互いが一番わかっている部分です。

また、それぞれの収入も把握しているでしょうし、何にお金を使っているかもわかっています。

そこで、これまでの生活を振り返り、生活をする上で実際にかかってきた費用を計算します。

その上で、それらの費用のうち、夫婦のどちらがどのぐらい負担するかの割合を決めるのが実費方式というものになります。

実費方式のメリット

実費方式は、お互い、それまで一緒に生活をしてきたわけですから、収入をどのように配分してどのような生活をしてきたかをお互いよく把握しています。

ですので、この実費方式で養育費を決めると、案外、お互いに無理のない金額になるということがよくあります。

お互いの収入もよく知っていますし、生活水準もよくわかっています。

また、何に費用がかかるのかがよくわかっていますので、生活をするにあたってのその費用をどちらが負担するのかというとても具体的な話になり、そういったことを把握した上で話し合いを行いますので、妥当な金額に落ち着くことが多いのです。

また、協議離婚での養育費を決める場合も、夫婦の話し合いではこの実費方式が取られることも多くあります。

夫婦には夫婦にしかわからない部分もありますので、この実費方式で落ち着く場合は、これが一番いいのかもしれませんし、そのあたりが実費方式のメリットとなります。

実費方式のデメリット

この実費方式は、あくまで話し合いで、それまでの生活の実費を計算していくというものになります。

ですので、何かの基準があるわけではありません。

収入や生活費を計算し、どちらがどのぐらい負担するかを決めるものになりますので、何の基準もないとなるとやはり揉めることもでてきます。

この基準がないというところが実費方式のデメリットで、ここで揉めた場合は、以下3つの算定方式で算定していくしかありません。

生活保護基準方式

生活保護基準方式は、生活保護法に基づき厚生労働省が定めている、生活扶助基準額に基づいて算定するものになります。

では、どのような計算方法になるのでしょうか。

生活保護法による生活扶助基準額

生活保護法とは、日本国憲法に規定された「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という理念に基づいて、国が生活に困窮する国民に対して必要な保護を行うことで、その最低限度の生活を保障するとともにその自立を助長することを目的として作られた法律です。

そして、この法律によって、厚生労働大臣は、毎年生活扶助基準額を定めることになっています。

参考元:https://www.mhlw.go.jp/content/kijun.3010.pdf
(厚生労働省HPよりH30.10生活扶助基準額)

この基準額は、住む場所、世帯の人数、家賃や教育費用などによってその基準額が定められているものです。

また、世帯構成や年齢によって、生活扶助基準や加算額である住宅扶助基準、教育扶助基準などの金額が具体的に定められています。

生活保護基準方式によるメリット

この生活扶助基準額は、厚生労働大臣によって毎年改訂されているもので、物価の変動や国民の生活水準をもとに作られているものです。

また、世帯構成やそれぞれの年齢に応じた金額が計算されていて、家族構成がわかれば自然と計算できるようになっているのでとても便利な計算表になります。

そのあたりは生活保護基準方式によるメリットと言えるでしょう。

生活保護基準方式によるデメリット

ただし、この生活扶助基準額とはあくまでも最低限度の生活を保障するために定められたものですので、これが一般家庭にも当てはまるかと言われると疑問符のつくところではあります。

生活保護法とは困窮する国民に対して必要な保護を行うことを目的としていますので、一般家庭でこれを用いると、どうしてもそこで計算される金額が低くなってしまう可能性があります。

このあたりは生活保護基準方式のデメリットとなります。

そこで、この生活扶助基準額を用いる場合は、基準とされている割合を実際の収入額にあてはめ、各自の負担額を計算するという形になります。

生活保護基準方式による実際の計算方法

では、実際の生活保護基準方式による計算はどのように行うのでしょうか。

      ①まず、親の実際の収入(基礎収入といって、総所得から各種税金や保険料、必要経費や住宅ローンを引いた金額)を決めます。
      ②そして生活扶助基準額による子どもの生活費を算出します。
      ③そこに①の収入をかけると子どもの必要な生活費、すなわち養育費の金額が決まります。
      ④この養育費の金額を父母の収入によって割合を決めそれぞれの負担額を決定します。

実際の数式は以下のようになります。

(事例)父親43歳、母親39歳が離婚した場合のケースをみてみましょう。

子どもは2人で7歳の男の子と5歳の男の子がいたとします。

子どもは母親が引き取ることとなり、父親が支払う養育費の金額を計算してみます。

基礎収入を父親が35万円、母親が5万円とし、さきほどの平成30年度の生活保護基準の例で計算してみます。

式2では、約162,000円とでてきました。

これを式3にあてはめて、父親の分担額は141,698円となりました。

この生活扶助基準額を使うと、個人の年齢に応じた金額と世帯ごとの金額を分けて計算できますので、世帯構成や実生活に即した形で利用できるようになっているので便利なのです。

労研方式

労研方式による養育費の算定方式があります。

こちらは、(財)労働科学研究所が実態調査に基づいて生み出した総合消費単位を基準として使用する方式です。

では、どのような方式なのかを見ていきましょう。

労研方式とは

総合消費単位とは、厚生省の委託を受けた(財)労働科学研究所が1952年に行った実態調査に基づいて、最低生活費の算定方式として生み出したものです。

科学的で簡明ですので、広く使用されてきたのですが、60年以上前の実態調査に基づくものですので、現在での家庭にあてはまるのかというと一部疑問符がつくところもあります。

労研方式のメリット

労研方式で計算する場合、それぞれの消費単位の指数がわかりやすく、計算が簡単にできるというところにあります。

親の基礎収入が決まってしまえば、後は自動的に数字をあてはめていくだけですので、分担する養育費の金額もすぐに計算できます。

そういったところが労研方式のメリットとして使用されてきました。

労研方式のデメリット

労研方式は60年以上前の実態調査に基づくものですので、現在の多様化する家族にそのままあてはめることができるのか、という問題が出てきます。

また、計算が簡単にできる分、基礎収入によって出てくる数字が変わりますので、基礎収入をどう計算するかというのもとても大事になってきます。

基礎収入とは、総所得から各種税金や保険料、経費や住宅ローンを控除した金額になるのですが、この控除する金額をどう決定するのかというのはとても大きな問題です。

このあたりをどう考えるかで出てくる数字が変わってきます。

そのあたりが労研方式のデメリットとなります。

労研方式での実際の計算方法

では、実際の計算方法をみてみましょう。

  • ①まずは親の基礎収入金額を決めます。
  • ②そして消費単位を基準として、基礎収入をかけて子どもの生活費を算出します。
  • ③そこに①の収入をかけると子どもの必要な生活費、すなわち養育費の金額が決まります。
  • ④この養育費の金額を父母の収入によって割合を決めそれぞれの負担額を決定します。

(事例)実際の実例をみてみましょう。

先程と同じケースの場合どのようになるでしょうか。

父親は既婚男子で軽作業とすると100になります。

これに別居しての独立世帯になりますので30を加算して130とします。

7歳の男の子の指数が55
5歳の男の子の指数が45

これを計算式にあてはめて計算しますと、式Ⅴでは、152,173円となりました。

これに父母の負担分を計算すると式Ⅵでは133,151円となります。

このように指数がわかればすぐに計算できるのがこの労研方式となります。

養育費・婚姻費用算定表を参考にする方式

現在養育費の算定方式としては、最も多く用いられている方法に、養育費・婚姻費用算定表を使用する方法があります。

では、こちらはどのような方法なのでしょうか。

養育費・婚姻費用算定表とは

養育費・婚姻費用算定表とは、平成15年4月に東京と大阪の現役裁判官を中心メンバーとした「東京・大阪養育費等研究会」が発表した「簡易迅速な養育費等の算定を目指して」という論文の中にある算定表のことをいいます。

上に見てきましたように、それまでにも養育費の算定方式はあったのですが、それでもやっぱり揉めることは多く、またそれぞれ個別のケースごとに実態に応じて養育費の金額を決めるとなると非常に時間がかかってしまうこともよくありました。

ですが、養育費は、子どもの日々の生活に必要な費用ですから迅速に金額が定められることが望ましいことは言うまでもありません。

そこで、東京・大阪養育費等研究会では、さまざまな資料を用いて、養育費を迅速に計算できるように養育費・婚姻費用算定表が作成されたのです。

また、平成15年4月からは多くの家庭裁判所でも利用されるようになっており、現在ではほとんどがこの算定表が利用されるようになっています。

養育費・婚姻費用算定表による算定方式

養育費・婚姻費用算定表では、まず自営業者と給与所得者を分けます。

そして、それぞれ夫婦の収入や子どもの人数、年齢で分類され、これに応じた形で養育費の金額がわかるようになっています。

この金額には少し幅があり、たとえば4~6万円というような記載がされています。

もちろん、それぞれの家庭にはそれぞれの事情がありますから、この算定表をもとにして、それぞれの事情を考慮し4万円にするのか、あるいは5万円か、6万円なのかを決定していきます。

このあたりはそれぞれの事情を鑑み決定することとなります。

養育費・婚姻費用算定表のメリット

養育費・婚姻費用算定表は、給与所得者か自営業者かを分け、その後養育費を受け取る権利者の年収と養育費を支払う義務者の年収、そして子どもの人数と年齢がわかれば、表を見れば、自動的に金額が出てくるというものになります。

面倒な計算すら要らないものです。

この簡易迅速に算定できるというところにやはりメリットがあり、だからこそ現在では多くの家庭裁判所での手続きにも用いられるようになっているのです。

ですので、協議離婚の場合で、夫婦間で養育費を決める際にも非常に便利なもので、これを基準に話し合いを行うということもよく行われています。

現在では、養育費の算定方式では、一番よく使用されており、やはりそれだけメリットのある算定表となっています。

養育費・婚姻費用算定表のデメリット

養育費・婚姻費用算定表は、夫婦の年収がわかって初めて金額が計算されるものとなります。

ですので、年額給与や課税対象所得という正確な収入がわからないと正確な計算ができません。

また、給与所得者と自営業者とに分けられているのですが、これは自営業者の方が税金や経費など、いろいろと有利な面があるからなのでしょうけれど、特に注意が必要なのが自営業者の年収になってきます。

自営業者の場合、確定申告などでは、税金を抑えるため本当の年収ではない数字になっていることもあったりして、正確な年収がわからない場合があったりします。

この算定表は正確な年収をもとに計算するものですので、このあたりは利用にあたって注意が必要です。

また、この算定表は、簡易迅速に計算できるというメリットはあるものの、それぞれの個別の事情までを反映したものではありません。

もちろん養育費・婚姻費用算定表は、さまざまな統計資料や税金などの規定、家賃や光熱費などのことも考慮に入れた上で作成されてはいます。

ですが、それぞれの家庭にはそれぞれ特別な事情があるケースもあるでしょう。

住宅ローン一つとっても、どちらが負担しているか、その住宅にはどちらが住むのかなどでは事情が変わってきます。

また、子どもの授業料が高額である場合もあります。

もちろんそういったケースを想定しての幅のある金額にはなっているのですが、そういった事情をもとに養育費については協議する必要は出てくるところでしょう。

このあたりがこの算定表を利用する際のデメリットかもしれません。

養育費・婚姻費用算定表の実際の計算方法

では、実際の養育費・婚姻費用算定表を用いて金額をみていきます。

こちらも先程と同じケースで見ていきますが、先程は、年収ではなく基礎収入で計算していました。

基礎収入とは総所得から各種税金や保険料、経費などを差し引き計算するものとなり、この算定表では税込年収で計算します。

参考元:http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf
(裁判所HP)

(事例)先程のケースでの父親を給与所得者とし税込年収を500万円とします。

そして母親を給与所得者で税込年収125万円とします。

子どもが2人で7歳と5歳どちらも(0~14歳)に該当しますので、用いるのは上記HPにある算定表の中の表3となります。

表3を見てみますと、給与所得者で義務者500万円、権利者125万の交わる部分は、6~8万円となっています。

ですので、この場合の養育費の金額は6~8万円の範囲内で、あとは個別の事情に応じて決めるという形になります。

では次に、父親税込年収500万円、母親税込年収125万円で子どもが1人の場合どうなるでしょうか。

子どもの年齢を7歳としますと算定表の中の表1を用いることになります。

表1を見ますと、給与所得者で義務者500万円、権利者125万の交わる部分は、4~6万円となっています。

この場合は、養育費の金額は4~6万円の間で、あとは個別の事情に応じて決定するという形になっています。

養育費・婚姻費用算定表ではそれぞれの子どもの費用も決められる

養育費・婚姻費用算定表を用いて、それぞれの子どもの1人当たりの金額を求めることもできます。

たとえば、子どもが2人いた場合に、それぞれ1人ずつの子どもごとに養育費額を求めることができます。

まずは、算定表上の養育費の金額を求めます。

先程のケースで、父親500万円、母親125万円、子ども7歳と5歳の場合ですと養育費の金額は6~8万円となりました。

たとえば養育費を8万円と決めたとします。

この8万円に子どもの指数で按分します。

子どもの指数とは、親を100とした場合の子に充てられるべき生活費の割合で、統計数値等から標準化されたものです。

子どもの指数は0~14歳の場合には55、15~19歳の場合には90と決められています。

7歳、5歳の場合どちらも指数は55になり、計算式は、
8万円×55÷(55+55)=4万円
となり、一人あたりの金額は4万円となります。

これが、例えば上の子が15歳、下の子を7歳とします。

そうすると算定表は表3から表4になるのですが、養育費の金額は6~8万円と同じです。

ですので、養育費を8万円とし、一人あたりの金額を計算しますと、

7歳の子については、
8万円×55÷(55+90)=3万円

15歳の子については、
8万円×90÷(55+90)=5万円

となります。

このように養育費・婚姻費用算定表を用いて、子ども一人あたりの金額を求めることもできます。

養育費の平均金額はいくら

さて、いろいろな形での養育費の算定方式を見てきましたが、では、実際のところ、日本における養育費の平均はどれぐらいになるのでしょうか。

このあたりを見ることで参考にできる部分もあります。

養育費の取り決め事情

厚生労働省の調査によると親権者が女性の場合で、養育費をもらっている率は32%となっています。

また、もらっている場合での一人あたりの養育費の金額は平均して3.6万円となっています。

これらを見ると多くの女性の親権者が養育費をもらっていない実態が浮かび上がってきます。

■ 母親が監護者となった場合、夫から妻への意養育費支払額別(未成年の子の数別)

総数 支払いの取り決めがある数 月額の取り決めがある数 1万円以下 2万円以下 4万円以下 6万円以下 8万円以下 10万円以下 10万円超 額不定
総数 18331 15897 15796 815 2296 6004 3532 1350 810 887 102
1人 9477 8085 8021 401 1249 3606 1649 537 249 276 54
2人 6797 6013 5980 291 788 1983 1477 658 370 375 38
3人 1783 1585 1581 102 231 364 373 133 170 199 9
4人 217 176 176 16 23 45 28 20 16 27 1
5人以上 47 38 38 5 5 6 5 2 5 10 -

家庭裁判所の統計によると養育費の支払いの取り決めをしたケースでは、子どもが一人の場合2~4万円に取り決めているケースが最も多くなっています。

次に多いのが4~6万円で、その次が1~2万円となっています。

また、子どもが二人の場合でもやはり2~4万円で取り決めているケースが最も多く、次が4~6万円となっていますので、このあたりは子ども一人のケースとさほど変わらないようです。

子どもが3人以上いるケースでも2~6万円あたりで取り決めているケースが多く、日本の養育費の取り決め金額は、だいたいこのあたりの金額に落ち着くのかもしれません。

養育費の支払い方法

養育費は、長年にわたって支払いが生じる性質のもので、一時に支払って終わりというものではありません。

そのときには支払えると思ったものでも、長年にわたるとなるととお互いに事情が変わってくることもよくあります。

再婚することもあるでしょうし、転職することもありますし、あるいは失業などの問題もあるかもしれません。

事情が変われば、それまでは楽に支払えていたものでも、支払うのが難しい事情が出てくるかもしれません。

未来にわたっては何が起こるか予想できないことも多いですので、そういった意味でも養育費の支払いについては、きちんとした文書に残しておくべきです。

また、協議離婚の場合は、養育費もあくまでも話し合いによって決めるものになるのですが、最初は支払ってもらえたけれど、2年3年するうちに支払いが滞ってしまったというのは、本当によくあるケースです。

厚生労働省の実態調査などでも、養育費の支払いについては、支払う約束はしたものの文書に残していないというケースも多くあります。

養育費の支払いは長年にわたるものだけに、泣き寝入りしないためにもきちんと文書に残すようにしましょう。

公正証書作成による養育費の支払い

養育費の支払いに関する取り決めは文書に残すべきなのですが、その中でも一番いいのは、やはり公正証書によって養育費の取り決めをしておくことです。

公正証書とは公証役場において、公証人が作成する公的な文書となります。

そして、この公正証書において支払義務者の執行受託文言を記載しておくことで、支払いが滞ったときに強制執行の手続きをすることができます。

養育費のような長年にわたって支払いが生じるようなものの場合、未来においてはどのような事情が出てくるかわかりませんし、いつ養育費の支払いが滞るかもわかりません。

ですので、協議離婚する場合において、養育費の支払いの取り決めをする場合は、支払義務者の執行受託文言の記載のある公正証書を作成しておくことで、支払いが滞るのを未然に防ぐこともできるでしょうし、いざ支払いが滞った場合は強制執行の手続きをすることで、相手の財産や給与を差し押さえすることができます。

調停や裁判で離婚した場合で養育費の支払いが滞った場合

協議離婚ではなく、調停や裁判で離婚している場合で養育費の支払いが滞った場合は、調停調書や判決書正本を債務名義として強制執行することができます。

これは、調停手続きで離婚している場合で、調停調書に養育費の支払いに関する条項がある場合は、その調停調書を債務名義とすることができ、あるいは離婚訴訟で家庭裁判所の判決で離婚している場合で養育費の支払いを命じている場合には、その判決書正本を債務名義とすることができるというものです。

そして、それにより強制執行手続きを利用することができ、相手の給与や預金を差し押さえ、その中から養育費の支払いを受けることができます。

また、現在では養育費の支払いに不履行があった場合、実際に支払い期限が到来している分の養育費だけでなく、支払い期限が到来していない将来に支払われるべき部分の養育費についても強制執行ができることになっています。

もしも養育費の支払いが滞ったら

もし、協議離婚で養育費の支払いが滞った場合、どうすべきでしょうか。

もしも養育費の支払いについて、支払義務者の執行受託文言の記載のある公正証書を作成していれば、それに基づき強制執行の手続きをすることができます。

強制執行によって、相手の給与や預金を差し押さえ、そこから養育費の支払いを受けることができるのです。

ですが、もしそのような公正証書を作成していなかった場合どうなるでしょうか。

この場合は、家庭裁判所へ調停を申し立て、養育費の支払いを求める必要があります。

養育費は、親が自分の子どもに対して支払う義務があるものです。

また、親は自分の子どもに対して、自分と同水準の生活を維持できるようにする生活保持義務があります。

たとえ離婚し、一緒に住むことがなくなったとしても、親である限りは子どもに対する生活保持義務がありますので、養育費を支払い義務も生ずるのです。

まとめ

養育費の算定方式としては4つの方法があり、実費方式、生活保護基準方式、労研方式、「養育費・婚姻費用算定表」を参考にする方法があります。

実費方式は、それぞれの家庭の事情に応じて、それまでにかかった費用を計算し、父母のどちらが何に対していくら負担するかを具体的に決めていく方式となります。

実費方式は、何にお金がかかるかをよく把握している者同士で決めるものですので、妥当な金額に落ち着くことが多くそこがメリットになりますが、何かの基準があるわけではありませんので、揉めることも多くそこがデメリットとなります。

生活保護基準方式は、厚生労働省が定める生活扶助基準額に基づき算定する方法です。

生活扶助基準額は毎年、物価の変動や国民の生活水準をもとに作られているもので、家族構成がわかれば自然と計算できるので便利なのですが、あくまでも最低限度の生活を保障するためのものですので金額が低くなってしまう可能性があります。

そこで実際の基礎収入を求め、それを基準額にある割合にあてはめ計算することで具体的な数字を出す方法が取られています。

労研方式は、(財)労働科学研究所が実態調査に基づき生み出した総合消費単位を基準とする方法です。

それぞれの消費単位の指数がわかれば自動的に計算できるものですので大変便利なのですが、60年以上前の実態調査に基づくものですので、現在の多様化する家庭にあてはまるのかという問題が生じます。

養育費・婚姻費用算定表を参考にする方式は、「東京・大阪養育費等研究会」が発表した「養育費・婚姻費用算定表」を参考に計算するものとなります。

それぞれ、自営業者か給与所得者、夫婦の収入と子どもの人数、年齢がわかればすぐに養育費の金額が見ることができるものとなっていて大変便利で、現在ではこの算定表が多く使用されています。

協議離婚で話し合うケースでもこの算定表を参考にされることが多くあります。

この算定表の金額には幅がありますが、そこあたりは個別の事情を考慮し決定していくことになります。

養育費の平均金額は2~6万円あたりが最も多くなっています。

また、養育費をもらう取り決めをするときは必ず文書でするようにし、できるならば、支払義務者の執行受託文言を記載した公正証書を作成しておくべきで、それにより養育費の支払いが滞ることを未然に防ぐことができ、あるいは実際に支払いが滞った場合は、強制執行の手続きができるようになっています。

▼離婚の手続き シリーズ

  1. 離婚の手続きVOL1 「 新しいスタートへ!良い離婚のために大切なポイント講座 」
  2. 離婚の手続きVOL2 「 離婚夫婦の9割が選ぶ「協議離婚」の概要と注意点 」
  3. 離婚の手続きVOL3 「 協議離婚の手続方法と気をつけるべきポイント 」
  4. 離婚の手続きVOL4 「 やっぱり離婚届を取り下げたい!離婚届の不受理申出とは? 」
  5. 離婚の手続きVOL5 「 協議離婚が無効になるケースとは?偽装離婚との関係 」
  6. 離婚の手続きVOL6 「 離婚で揉めたらまずは「調停離婚」を考えよう!手続方法とデメリット 」
  7. 離婚の手続きVOL7 「 調停離婚の実際の流れと注意点 」
  8. 離婚の手続きVOL8 「 調停離婚における調停委員会では何が行われるのか? 」
  9. 離婚の手続きVOL9 「 もっとも珍しい離婚方法「審判離婚」とは? 」
  10. 離婚の手続きVOL10 「 最後の手段「裁判離婚」の内容と費用について 」
  11. 離婚の手続きVOL11 「 離婚につながる5つの事由と具体的なパターン 」
  12. 離婚の手続きVOL12 「 離婚訴訟はどのような終わり方?離婚できないケースとは? 」
  13. 離婚の手続きVOL13 「 有責配偶者から離婚を求めるケースへの実際の判例 」
  14. 離婚の手続きVOL14 「 新しい流れにより時代は「破綻主義」離婚へ 」
  15. 離婚の手続きVOL15 「 必ず発生?請求期限は?離婚慰謝料の概要と注意点 」
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  27. 離婚の手続きVOL27 「 親権者と監護権者を決める基準とは? 」
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  29. 離婚の手続きVOL29 「 離婚にともなう親権・監護権者の決定に関する実際の判例 」
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  34. 離婚の手続きVOL34 「 子に悪影響なケースでは面会交流権行使を制限することができる 」
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また離婚は夫婦ごとに個別事情ですので、 インターネットで調べても、自分自身にあっているのか? ケースでどうするのか?正解かを理解することは難しいです。 弁護士が離婚までの壁を解決いたします。

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