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離婚とお金VOL42 親権でもめて子どもを連れ去られたときに返してもらう方法を解説

夫のDVが原因となって協議離婚をする場合、夫婦間に子どもがいれば、妻が子どもの親権をとり、引き取ることが多いです。

このような場合、妻側としては、子どもを二度と夫に会わせたくないと考えるのが自然かもしれません。

しかし、別れた夫には、面会交流権(面会交渉権)という権利が保障されています。

「面会交流権(面会交渉権)」とは、離婚をした際に、子どもを引き取らなかった親が、直接子どもに会ったり、電話やメールなどで連絡を取ることができる権利のことをいいます。

そのため、別れた夫から子どもに会いたいと申し入れがあれば、妻は、原則として、この申し入れを拒否することはできません。

もっとも、夫が子どもに虐待を働いていた過去があるような場合には、このような申し入れを拒否することができますが、相手によっては、強硬手段を使って、子どもに接触しようとしてくる場合もあります。

たとえば、夫が子どもの通う幼稚園で待ち伏せをして、子どもが出てきたところを勝手に連れ出すといったケースです。

このような場合、妻は子どもを夫から取り返せるのでしょうか。

子の監護に関する審判と保全処分の申し立て

夫のDVなどが原因となって、妻が離婚調停を申し立てる場合、妻と子どもはすでに夫のもとを離れて、別居しているケースがほとんどです。

このような状況の中、妻のもとから子どもを連れ去るなどして、妻に子どもを返さないケースがあります。

仮に、妻が子どもの親権者としてふさわしくないような素行を続けるなどして、子の利益・福祉を害している場合であっても、夫が妻のもとから子どもを連れ去る行為は違法です。

このような場合には、きちんと法律上の手続きに則って対応する必要があります。

具体的には、親権者などの変更を家庭裁判所に申し立てることになります。

そのため、夫が違法な手段を使って子どもを連れ去った場合、親権者または監護者となっている妻は、夫に対し「子の引渡し」を請求できます。

それでも、夫が子どもを返してくれない場合には、裁判所に「子の引渡しを求める調停」などを申し立てることができます。

子の引渡しを求める調停

離婚の前後を問わず、連れ去られた子どもを返してくれない場合には、家庭裁判所に「子の引渡しを求める調停」を申し立てることができます。

調停手続きでは、子どもの学校生活や生活環境などを考慮しながら、子どもの意思も尊重して、調停委員と裁判官、そして夫の間で話し合いがもたれます。

調停が成立すれば、子どもは妻のもとに戻されることになりますが、調停が不成立(不調といいます)となれば、自動的に「子の監護に関する審判」に手続きが移行し、裁判官が審判を下すことになります。

審判前の保全処分

調停が不調に終わり、審判手続きに移行した場合において、連れ去られた子どもに対する危険が差し迫っているような事情が認められるときには、妻は「審判前の保全処分」を申し立てることができます。

たとえば、夫により子どもが虐待を受ける可能性が高いような場合です。

家庭裁判所が、この申し立てに理由があると判断すると、審判手続きが終わるまでの間、子どもの監護者を妻と仮に定め、夫に対して子どもを妻に引き渡すよう命じることになります。

この保全処分には、強制執行力(保全処分で認められた内容を国家機関によって強制的に実現すること)があるため、審判手続きにおいても妻側に有利に働く可能性が高いといえます。

調停前の仮の措置

調停前の仮の措置」とは、親権者や監護者の指定を求める調停手続中に、子どもの引渡しを仮に夫に求める措置のことをいいます。

たとえば、調停の間、親権者や監護者が決まっていない状態が続くことが子どもの利益・福祉を著しく害するような場合に、一時的に親権者や監護者を決めて、その者に子どもを引き渡すことを命じるわけです。

もっとも、調停前の仮の措置には、審判前の保全処分のような強制執行力はなく、仮に、この措置に夫が従わない場合は、10万円以下の過料というペナルティが夫に課されるだけに過ぎません。

人身保護法に基づく請求

人身保護法」とは、法律上の手続きによらずに身体を拘束されている者を救済するための法律です。

人身保護法に基づく請求がなされた場合、拘束されている者の身体を保護する必要性が高いことから、裁判所も素早く結論を下します。

そのため、保全処分が認められるために必要とされる緊急性よりも高度な緊急性が必要であり、かつ、子どもを連れ去った夫に明らかな違法性が認められる必要があるなど、請求が認められるための要件が厳格になっているようです。

この手続きは、地方裁判所や高等裁判所が申立先となりますが、弁護士を代理人につけなければならないことが原則となっています。

警察に通報する方法もある

夫のDVが原因となって離婚したような場合においては、夫に連れ去られた子どもが夫から虐待を受けるおそれがあります。

このような場合には、いち早く子どもの安全を確保しなければなりません。

そのため、子の引渡しを求める民事上の手続きと並行して、警察に通報するなどして、子どもを保護してもらうことが重要です。

この点、警察はいわゆる「民事不介入」と言われているように、民事事件や家事事件といったトラブルには腰が重くなる傾向にあります。

しかし、妻と別居している夫が保育園から帰宅途中にあった長男を車で連れ去ったという実際の事件において、警察はこの夫を未成年者略取誘拐の容疑で逮捕し、その後、夫は懲役1年、執行猶予4年の有罪判決を受けています。

このことからも、離婚後、親権をもっていない親が子どもを連れ去った場合には、未成年者略取誘拐罪が成立する可能性が高いと考えられます。

このように、警察の力を借りて、子どもを保護する方法もありますので、その点は覚えておきましょう。

まとめ

離婚を機に、親権者となり子どもを引き取っていた妻(夫)が、相手に子どもを連れ去られてしまった場合には、家庭裁判所に子の引渡しを求める調停を申し立てることができます。

もっとも、過去に相手からDVを受けたことがあるなど、子どもの身の安全を確保する必要性が高い場合には、審判前の保全処分を申し立てるなど、適切な対応が求められます。

また、場合によっては、裁判所での手続きに加え、警察に相談することも併せて検討することが必要です。

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