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離婚とお金VOL21 慰謝料も財産分与も請求できる期限がある!不払いを防ぐ方法とは?

協議離婚をするにあたり、相手に対して財産分与や慰謝料を請求できる場合があります。

しかし、協議離婚は、調停離婚や裁判離婚とは違い、あくまで夫婦間での話し合いにより離婚についての合意がなされるため、財産分与や慰謝料といった問題も基本的には夫婦間での話し合いにより解決が図られます。

仮に、夫婦間での話し合いにより離婚そのものについては合意が成立したものの、財産分与や慰謝料については特に具体的な取り決めをしていなかった場合には、後にこれらの請求をすることができなくなるおそれがあります。

離婚時における財産分与・慰謝料請求の時効は?

財産分与や慰謝料請求には「除斥期間」や「時効(消滅時効)」という制度があります。

「除斥期間」とは、法律関係を早期に確定させるために、一定期間が過ぎることによって権利を消滅させる制度のことをいいます。

「時効(消滅時効)」とは、一定期間権利が行使されない場合にその権利を消滅させる制度です。

除斥期間と時効の違い

財産分与や慰謝料は、協議離婚をする際に具体的な取り決めをしていなくても、離婚が成立した後に別途請求することは可能です。

もっとも、将来的にいつでも請求できるわけではなく、それぞれには除斥期間・時効期間が定められていますので、その期間を過ぎてしまうと、たとえ、財産分与や慰謝料を請求できる権利を持っていても、その権利を喪失し、請求することができなくなります。

具体的に、財産分与の場合は除斥期間である2年、慰謝料の場合は時効期間である3年を過ぎてしまうと、これらを請求することはできなくなります。

ここでいう除斥期間と時効期間は、一定の期間が経過することにより請求することができなくなるという点では同じ効果を持ちますが、その期間を中断させることができるかという点で異なります。

除斥期間はその期間を中断させることはできませんが、時効期間はその期間を中断させることができます。

除斥期間や時効への対応策

慰謝料請求は、時効期間が3年と定められていますので、この期間を経過してしまうと、慰謝料を請求することができなくなるのが原則です。

もっとも、時効を主張する側(慰謝料の請求を受けている者)は、時効が完成したことを主張しなければ(=「時効の援用」といいます)、時効が成立したことを主張することはできません。

そのため、慰謝料を請求する側は、たとえ、離婚の成立後3年を経過していたとしても、相手が時効を援用するまでは慰謝料を請求することができます。

また、慰謝料を請求する側は、時効期間を中断させること(=「時効の中断」といいます)ができます。

時効を中断させる方法はいくつかありますが、たとえば、調停の申立てや訴訟提起などが挙げられます。

さらに、時効期間の成立までに時間がないといったように、早急に時効の中断手続きを取らなければならないような場合には、催告(内容証明郵便による請求など)によって時効を中断させることもできます。

ただし、この場合には、催告後6ヵ月以内に訴訟を提起するなどしなければ、時効は中断しませんので、その点は注意が必要です。

なお、時効中断のために申し立てた調停などが成立したような場合には、時効期間が調停成立後10年に延びることになります。

他方で、2年の除斥期間がある財産分与の場合、離婚の成立後2年以内に請求の手続きをとる必要があります。

除斥期間は、時効期間のように中断させることはできませんので、少なくともこの2年という期間内に請求の手続きをとっておかなければなりません(実際に財産分与を受けるところまでは必要ありません)。

また、除斥期間には時効の援用のような制度がないため、離婚成立後2年が経過すると、財産分与を受けられる権利は自動的に失われることになります。

財産分与や慰謝料を後から再度請求できるか?

離婚をする際に、きちんと財産分与を受けたものの、後になって、新たな夫婦共有財産があることが判明するケースがあります。

「夫婦共有財産」とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産をいい、財産分与の対象となる財産のことです。

また、離婚時には、相手に不貞があったというような事実も確認できなかったため、慰謝料は問題とならなかったものの、後から相手に不貞があったことが判明するケースがあります。

これらのケースでは、原則として、後になって再度財産分与を請求したり、慰謝料を請求したりすることはできません。

財産分与についての取り決めは多くの場合、財産分与の具体的内容を定めた契約書を夫婦間で交わします。

この契約書には、「今後、金銭的・財産的な請求は一切行いません」といった文言を入れることが一般的です。

そのため、この契約書を交わす際に、相手の強迫や詐欺行為によって署名をさせられたというような特別の事情がないかぎり、後になって再度財産分与や慰謝料を請求することはできません。

実際に、調停において財産分与に合意した妻が、後になってその金額が不服であるとして申し立てた審判事件において、家庭裁判所が、同じような理由で妻の請求を退けたという事案も存在します。

もっとも、以上のことはあくまで夫婦間で契約書を交わし、かつ、そのような文言が契約書に含まれている場合に限ってあてはまることです。

たとえば、契約書は交わしたものの、そのような文言が定められていない場合、または、契約書自体交わしていない、といったような場合には、後になって再度財産分与や慰謝料を請求しても差し支えありません。

また、契約書を交わした当時においては、到底予測できないようなことが後になって判明したことにより、いったんは合意した財産分与や慰謝料の金額が明らかに不当であると認められるに至ったような場合には、後に改めて請求をし直すことができる余地もあります。

不払いを防ぐ方法

財産分与や慰謝料について夫婦間で合意したにもかかわらず、その後、相手が支払いをしてくれないというケースが少なくありません。

これでは、財産分与や慰謝料に関して夫婦間で取り決めたことがまったく意味をなさないことになるため、その取り決めた金銭などの支払いをいかに確保できるか、という予防策が大切になってきます。

公正証書を作成しておくことが重要

財産分与や慰謝料の支払いに関し、契約書を交わしたにもかかわらず、夫がその支払いを一切してくれないというような場合、夫から支払いを受けるためには、夫を相手どって、裁判を起こさなければなりません。

最終的には、その裁判で受けた判決(=「債務名義」といいます)をもとに、強制執行という形で、夫から支払いを受けることになります。

「強制執行」とは、国の力を借りて、債務名義に記載されている財産分与や慰謝料の請求権を実現するための制度です。

たとえば、給料や預貯金口座の差押え、不動産の差押えなどが挙げられます。

このように、夫から支払いを受けるためには、裁判を起こすところから始めなければならず、そのための費用を自分が負担しなければならないうえに時間もかかります。

このように見てくると、財産分与や慰謝料は、離婚が成立するまでに全額支払いを受けておくことが理想だといえます。

仮に、離婚が成立するまでの全額支払いが難しいようであれば、財産分与や慰謝料の支払いに関する取り決めを、強制執行認諾約款付の公正証書にしておくことをお勧めします。

「公正証書」とは、元裁判官や元検察官など、法律実務のキャリアを持っている人(=「公証人」といいます)が公証役場で作成する文書のことをいいます。

公正証書に強制執行認諾文言(「支払いを怠った場合に強制執行をされても問題ありません」という合意)を付けておくことにより、相手が支払いを怠った場合に、裁判を起こすことなく、すぐに強制執行をすることができます。

また、相手に対して心理的にプレッシャーを与えることができるうえ、裁判を起こす際に必要な費用や時間といった手間を省くことができます。

なお、財産分与や慰謝料の支払いについて、念書を交わすことも多いと考えられますが、念書は財産分与や慰謝料の支払いに関する取り決めがあったことの証拠にはなるものの、支払いがなかった場合は、通常の契約書の場合と同様に、裁判を起こすところから始める必要があります。

このことからも、財産分与や慰謝料の支払いについては、その不払いを防ぐために公正証書を作成しておくことが極めて重要になるのです。

離婚を想定した準備

夫が働き、妻が専業主婦である家庭では、小遣い制にして妻が夫の給料を全面的に管理していることが少なくありません。

婚姻期間中に夫の給料で築いた財産は、夫婦共有財産にあたり、財産分与の対象となるため、妻は離婚時に財産分与としてその2分の1をもらえる権利があります。

もっとも、離婚が成立した後に、夫名義になっている財産を妻が勝手に処分することはできませんので、婚姻期間中から離婚を想定した準備が大切になってきます。

たとえば、自分名義の預貯金口座を作り、その口座で夫の給料を預貯金していくことが考えられます。

まとめ

離婚をする際に問題となりうる財産分与や慰謝料の請求には、除斥期間や時効期間があるため、離婚後一定期間を経過してしまうと、請求することができなくなります。

そのため、離婚後にこれらを請求する際には、除斥期間や時効期間を念頭に置いて、アクションを起こす必要があります。

また、財産分与や慰謝料を支払わないケースも少なくありませんので、これらについて夫婦間で合意が成立した際には、不払いを防止する観点からその内容を公正証書にしておくことが望ましいといえます。

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